わかりやすい文章を目指して。

現在、第一校の作成がちょうど半分ぐらいのところにさしかかったところです。原稿用紙からパソコンに起こすのは、本当に大変……なめてかかると、あっという間に時間が経ってしまいます。今回は、多分間に合う予定です。
「こら、そこの赤木! たぶんとか言うな! 歯を食いしばれ!」
「失礼しました少尉殿!」

とかそんなことはどうでもよくて。今日は私の羅針盤の紹介です。
パソコンが一般家庭に定着してもう何年も経ちます。それとともに、書類や手紙、そしてアマ小説もパソコンのワープロソフトで書くのが当たり前になりました。日本語変換機能の充実ぶりもめざましく、与野市と打ち込むと、「合併⇒さいたま市」と注釈が出るぐらいです。うるさいよATOK*1、と突っ込みを入れてしまいました。
そんな中で、ちょっと気になる現象が。接続詞や副詞に漢字が使われすぎている。以下は赤木が「ん?」と思った一例です。
勿論
敢えて
如何にも
宜しく
所詮
それ程
余り
尤も

これらはすべて、同人小説の中で使われていた漢字です。もちろん、個性でやっている人もいるでしょうが、文面を見る限り、おそらくは自然と変換されて出てきたものを使っているのでしょう。赤木なら、すべてひらがなで書きます*2
ワープロに頼りすぎるあまり、使われなくなった漢字が自然と復活している。正しい日本語と言われれば正しい日本語なのでしょうが、やはり違和感を感じます。少なくとも、読みづらいと思う。これは私の独りよがりな意見ではなく、同じようなことを、小説家の誰かが新聞か何かで苦言を呈していたのを覚えています。
読みやすさを大切にする、というのが私の基本方針です。この辺をもっときちんとしよう。そう思って先ごろ購入したのが、朝日新聞の用語の手引き」(朝日新聞社です。この本は、朝日新聞の記事で使用する言葉のガイドラインです。その中の用字用語ってコーナーが、この辺の疑問に答えてくれているんですね。
一例を挙げると
勿論⇒もちろん・無論
余り⇒あまり
尤も⇒もっとも

てな具合に記述されています。自然な日本語を書く際に、手助けになってくれます。
とはいえ例外もあって、新聞では常用漢字でない漢字を避けます。「戦慄⇒おののく」なんて書かれていますが、そんな言い換えしたら、小説の雰囲気が台無しですよ。別に私は朝日の記者じゃないし、全部が全部この本のルールに従えばいいと思っているわけではありません。
ただ、大きな参考にはなります。わかりやすい文章を目指して! 今日も手引きを引きながらキーボードを叩いております。




余談
そもそもこの本は、私がいた編集部に置いてありました。でも私はこの本が嫌いで、ほとんど見ませんでした。編集長時代、編集委員*3と送りがなで揉めたとき、「これを読め!」と言って投げつけられた(本当に投げつけられた)記憶しかない……本当にこの本が嫌いだった。
しかし五年以上経って、この本をまさか自分のお金で購入するとは。人間、何が起こるかわかりません。

*1:赤木はATOKを使用。以前は富士通のOAKだったし、MS-IMEだった時期もあるが、結局ATOKが最高という結論に達した。

*2:もっとも、敢えてあたりは過去に使っているような気がする……偉そうなことを言っておきながらこの体たらく。

*3:いわば顧問の先生。俺より権限がはるかに強い