親指シフトキーボード

出稿から四日後の休日。風邪を引きました。むー、無理を重ねて来たのがよくなかったか。というより、無理をしないといけないぐらい前半余裕こいていたのがいけないのだと思う。結局土曜日は寝たきりで過ごす。
本題に入る前に。つい最近本屋で何気なく立ち読みした、副島隆彦「私は税務署と戦う 恐ろしい日本の未来」(ビジネス社)という本。これは面白いです。何気なく手に取ったのですが、全部読みそうな勢いだったため、買いました。
赤木は常日頃から税金の使われ方に強い疑問を持っていましたが、この本を見ると、税金は取り立ての段階からすでにおかしいことだらけということがよく分かります。ヤクザまがいに恫喝して徴収した税金を自分たちの懐に入れる一部の役人ども!ふざけんな!カネ返せ!みなさんもこの本を買ってください。この本をベストセラー上位に上げて、税務署を、財務省を震え上がらせましょう。
と、ここからが本題。
以前、原稿用紙で書くことにします、と書いた日記を読んだ方から、「赤木さんは結構古くからパソコンを使ってらっしゃるんですね」という声をかけていただいた。確かに古さだけなら自信があるかもしれない。私が初めて手に取ったパソコンは、メモリ640kb、ハードディスク20MBであった。最近パソコンを始めた人なら、ハードディスク20MBと聞いて何のことだか分からないかもしれない。だが12年前の当時は、ハードディスクがあること自体が貴重で、20MBのハードディスクを自慢したものである。この間大陽出版で待ち合わせの時に、おねーちゃんが「昔のPCだから、メモリが128MBしかないんだよね」などと雑談していたが、我々から言わせればなんだその最新鋭のマシンは、とか、その程度で昔とか言うな、いいか昔は720kbにメモリを増やせる奴は神だったんだぞと叱りつけたくなる。
私が初めて手にしたパソコンは富士通FMR。次の年、お願いしてFM-Townsを買ってもらった。赤木が富士通党になっていたのは必然であった。FM-Townsを用いて、「光と共にありて第一部」の前身「シルフィード」は書かれていったわけである。
富士通は日本のコンピュータ史で輝かしい歴史を打ち立てきたメーカーだが、その富士通が発明した偉大な一品、それが親指シフトキーボードである。
親指シフトの外見的な特徴は、まず目につくのがキーボード下にある「親指右」「親指左」キーである。そして、一つのキーに、日本語が二つ刻まれている点も特徴的だろう。初めて見た人なら、一体なんだこれはとなるはずだ。
具体的な打ち方は、以下の通り。
アルファベットのJのキーを打つと・・・

  • 何も押さずに打つと、「と」が入力される。
  • 右親指キーと同時に打つと、「お」が入力される。
  • 左親指キーと同時に打つと、「ど」が入力される。

キーの下段にある日本語はそのまま、キー上段にある日本語は同時押し、キー下段の濁音は反対側のシフトキーと同時押し、というのがルールである。
こんなの打てるの?とか、打ちにくそう、という人は、次のHPの真ん中あたりのフラッシュを見て欲しい!
「日本語入力コンソーシアム」http://nicola.sunicom.co.jp/
このフラッシュを見れば、親指シフトとローマ字かな打ちの速度の差が非常によく分かる。打鍵数が、圧倒的に違うのである。また、頭に思った言葉をダイレクトにキーボードに打てる点でも優れていると言えるだろう。事実、かつてワープロ時代、キーボード早打ちの大会で上位に食い込むのは、親指シフトキーボードを搭載した富士通ワープロ機、OASYSのユーザー達であった。かつて本物の親指シフトユーザは、「ローマ字かな打ちキーボードを障ると指が痙攣する」といってローマ字かな打ちを嫌ったものである*1
しかし、親指シフトキーボードは年々ユーザ数を減らし、今では知っている人の方が珍しくなった。専用機OASYSの消滅、富士通オリジナルパソコンTownsの消滅がその原因だろう。ただ、私は富士通の責任も追及したい。自社の誇る技術である親指シフトキーボードを、Windows時代になってからないがしろにしたのか?残念でならない。最も、赤木もコンピュータ業界の人間である。互換性というコンピュータが持つ問題の前ではどうしようもない、という諦めも、今なら納得できなくはない。だが、それでも! 富士通には、自社が生み出した技術を大切にして欲しかった。親指シフトキーボードが廃れていく期間は、一般的に「富士通転落*2」の期間と一致しており、その間に自社の持つ技術を軽視した・・・と考えるのはさすがに穿った見方か。
親指シフトキーボードはすべての文字書きに伝えたい素晴らしいキーボードだ。万が一、この記事を読んで興味を持って頂き、「欲しい!」と思った方がいた場合は、以下のHPをご参照ください。
http://www.fmworld.net/annc/oshift/
富士通の公式ページ。デスクトップで使用する場合は、専用キーボードと日本語入力ユーティリティを購入すればできます。しかし、今の時代にキーボードに13000円払う人は俺以外にいないよなぁ。また、ノートでも親指シフト搭載マシンを選択することもできるが、一番高いモデルでしか選択できないのでは、ユーザの選択肢がないも同然・・・この辺から、富士通の親指軽視がよくわかる。
では、富士通マシン以外のパソコン、またはMS-IMEATOKでは親指は使えないのか?実は、使えるのである。
http://nicola.sunicom.co.jp/info3.html
このページの一番上にある、「親指ひゅんQ」というソフトがそれ。これは、通常の日本語キーボードをニコラ配列(親指シフトの配列)に変更するソフトです。これを使うと、MS-IMEでもATOKでも、お使いのパソコンが親指シフトキーボードに早変わり。キーボードの刻印が変わるわけがないので、キーを全部覚えていないと打てないという欠陥はあるが・・・赤木は、今はこっちを使っている*3
導入したが、練習するにはどうすれば?という人はこちら。
http://software.fujitsu.com/jp/japanist/relation.html
このページの一番下に、練習ソフトがあります*4
こんなのもあるのか、とちょっとした知識にして頂ければ幸いです。

*1:赤木もそうなのです・・・と言いたいところだが、赤木はローマ字かな打ちもまぁまぁ得意。

*2:90年代の富士通転落については、城繁幸「内側から見た富士通成果主義の崩壊」(光文社)が詳しい。

*3:IBM-ThinkpadとATOK17、そして親指ひゅんQ。赤木がパソコンを選ぶ基準、それはキーボードです。それ以外にありません。Thinkpadは親指キーとして代替される「無変換」「変換」キーがノートパソコンとしては極めて大きく、親指シフト入力するためには最適なパソコンといえる。

*4:最も、キーボードの練習に、タイピングソフトなんか使う必要はない、というのが赤木の持論。かつて赤木は、阿佐田哲也麻雀放浪記」を写しながらタイピングを覚えた。