燃える闘魂 この一振りに

「萌え」市場 書籍や映像、ゲームで規模888億円に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050411-00000060-mai-soci


極めて気になったニュースを一本。
まず、ここ数年ずっと気になっているのだが、「萌える」は動詞であって名詞ではないはずだ。例えば「俺はマルチに萌える」という使い方は正しい。「マルチは萌えだよね」という使い方も、文法的にはともかく萌えという言葉の使い方としてはまぁ正しかろう。
ここで重要なのは、「萌える」という動詞は、必ず補語を伴って使われるべきであるのだ。この場合でいえば、補語はマルチである。「マルチに」対して「萌える」訳であり、単純に「萌え」といったとき、一体何を指すのか、私には分からない。上記のニュースでは、この言葉の定義を
「「萌え」は芽生えを意味する「萌える」が語源で、読者が特定の登場人物に愛情を覚えることをいう。」
としている。ある程度正しいが、そうなると「萌え市場」という言葉は意味不明になってしまう。まさか株式市場、すなわち相場に萌えているわけでもあるまい。あんな所萌えるような(以下略)。
ニュース全体を読むと、要するにオタク向け市場の事を指しているようだ。それを指して「萌え市場」と呼ぶのは私としてはいささか抵抗がある。
ヒマではないつもりだが、もう一歩踏み込んで考える。以前赤木は「週刊文春」で、「萌える」の定義について、「幼い少女などをかわいらしく思うさま」と書かれているのを見て、「なるほど」と頷いた記憶がある。確かに赤城リツ子*1萌えという人は少ないし、こうして書いてみるとやや違和感を感じるが、マルチ萌えという言葉には違和感を感じない。その意味では文春の定義は、萌えという言葉を単なる動詞と捕らていない点で画期的である。
でもさー、それって、要するにロリコンってことじゃん!いいのか?!それで! 某エロ漫画に載っていた「一億総ロリコン化」もそう遠い未来でないかも、と思うと、筆者は重ねて世の中に対して絶望的な気持ちなるのである。年下や二次元にしか興味を持たない(持てない)男性と、それを見下す女性という二者のみが存在する社会に、一体どんな夜明けがあるというのか。想像できん。
ところで、今頃こんなことを言い出すあたり、やっぱり新聞の情報って一周、二周遅れてるのね。経済欄とか、文化欄とか、知らない人間にはなるほど〜って読めるけど、知っている人間からすればこんなものかと思ってしまう。「おたく市場はビッグビジネス」なんていう記事がここ数年多い。お前ら、みんなしてそういう頃にはもう最高値で、天井近いんだぞ、これからは下がるんだぞ、と教えてあげたい気分だ*2
ところでなんでこんなに「萌え」にこだわるかといえばまぁ色々あるのだが、元サタニスト*3としては、あまりにも濫用されている「萌える*4」という言葉について、一言文句を言わないと気が済まなかったことを許して頂きたい。

やっぱ俺・・・ヒマなのか?

*1:私のペンネームについて、以前はよくリツ子さんから取ったのですかと聞かれたものだ。今はゴリラダンクですかと聞かれることが多くて笑ってしまう

*2:この辺の近年のトレンドについては、来週日曜日の「シスプリ後の世界」で少し触れたい

*3:セーラーサターンのファンのことをこう呼ぶ。萌えという言葉は、サタニストたちが土萌ほたるに対して「燃える」という言葉をもじって「萌える」と書いたのが始まり、という説があり、元サタニストとしてはこの説を信じている。ちなみに、元と書いたが今でもほたるちゃんは好きかと

*4:なお編集後、はてなダイアリーのリンクを調べたところ、なんと商標登録されているとのこと。べっくり