入稿前夜まで

12/3
第二校が完成する。今日はWEB校正サービスに原稿を出稿する日だ。3日に出稿すると、6日に帰ってくる。その間に表紙やらなんやらをやる、という算段だ。予定より少し遅れて、午後五時に出稿。
本来なら、校正サービスに出した後、こちらで校正を加えるのはよくない。校正サービスに出す原稿はあくまで完成形であることが望ましい。とはいえ、締め切りまであと4日もある段階で、完成形を出せという方が難しく・・・校正サービスと並行して、赤木も校正・推敲を進める。
同時にルビ振りも行う。このために買ってきた一太郎が早速活躍だ。一太郎なら、同じ語に一気にルビを振る機能があるから、紅薔薇さま白薔薇さま黄薔薇さま、と一気にルビを振る。ルビ振りをすると仕上がってきたような感じがしてステキだ。
12/4
表紙担当のJH君と話をしながら、表紙の作成に当たる。いや、私が絵を描くわけではない。カラーカバーとなれば、背表紙(表4)や本の背、折り込み部分を作らないといけない。表表紙(表1)以外は私の担当だ。
ここで時間をかけたのが、バーコード。同人文庫本を見てみると、みな大抵バーコードをつけている。これは私も真似しなければ。ということでバーコード作成フリーソフトをダウンロード。数字を打ち込むとバーコードが作成されて「おー」と歓声を上げる。
しかし、やるならもう一歩本格的に! 「マリ見て」文庫を片手に、ネットでバーコードに並んでいる数字の意味を調べる。ふむふむ、国際的に共通なのね・・・実際に存在するコードに即して、とはいえ本物作るとまずいので少しレギュレーションから外して、バーコードを作成。うむ、いい感じだ。粗筋を背表紙に入れると、ぐっと文庫本っぽいカバーになってきた。
12/5
会社から戻ると、JH君からメッセージ。イラストが完成したらしい。オープンすると、真美と三奈子が。おおっ!勢いがある感じがして、本の内容にもぴったりマッチ。これはすばらしい。
作り途中の表紙にはめ込んでみる。実にいい感じ。嬉しくなって、プリントアウトして手持ちの文庫本にくるんでみた。幸せな気分。
同時に、プロフィールを作成する。今回は赤木保とJohnHathwayをマリ見てファンに広く知ってもらう、という目的もあるので、自己紹介は重要だ。しかし、JH君を紹介するのはともかく、自分を紹介するのは・・・気恥ずかしいものあるし、実績がないのでろくに書けないし。勢いのみで書き込んでから、JH君の分を彼にチェックしてもらう。
そんなこんなで表紙はほどほどできてきたので、再び本文のチェック。一太郎は縦書き時に、ページが横にズドンと並ぶので、非常に操作しやすい。ただ、コマンドが一部、標準的でないものがある。例えば検索の場合、CTRL+Fが一般的(MS的とも言う)だが、一太郎の場合CTRL+^なのである。その辺は多少の慣れが必要かもしれない。原稿を見ながら、夜は更けていく。第三校完成。
12/6
やってしまいました。前日の影響で、寝坊しました。あー、引っ越してからまだ一度も寝坊したことなかったのに・・・とはいえ嘆いてももう遅いので、お腹が痛くなったことにする。会社に電話後、作業でもするか・・・とか思ったら、本当に腹が痛くなる。ここのところかつてなく作業してるから、体調が少し不安だ。あと二日持ってくれ!俺の体!
午後から出社し、仕事を終えて戻ってきたのが十時過ぎ。パソコンを開くと、WEB校正サービスから校正原稿が戻ってきた。いつもながら、校正原稿が戻ってくると非常に恥ずかしい。50カ所以上のミスを指摘されるのは、なんとも言えない気分。しかも今回は、本文のみならずメールまで添削され、「マリアさまが見ているとありますが、正確にはマリア様がみてるです。固有名詞を間違えると愛を疑われます」という厳しいコメント付きで、早速ヘコむ。とはいえ、校正を受けなかったら、多くの人に恥をさらしてしまうわけで。「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」ということわざを少し思い出す。
静かな冬の夜。校正サービスからもらった修正版を参照しながら、訂正を続ける。するとJH君からメッセージ。イラストの第二弾ができたとのこと。新しい方に差し替える。
深夜二時半頃、第四校完成。WEB校正サービスを受けて、クオリティはかなり上がった。眠い目をこすりながら、全体を印刷。いよいよ最後の校正に入る。いやしかし、今回は校正・推敲をずいぶんやった。これまでのシリーズでもまぁまぁやってきたつもりだったが、今回はそれを遙かに上回る量の校正を行っている。おかげで、当初は読みにくくて話の流れがおかしかった本文も、相当グレードアップしてきた。「校正が一番重要」と口で言いながらなかなか実践できなかったが、今回の作業を通じて、コツをつかんだような気がする。後一踏ん張り。今日は徹夜だ。ジャスコで買った名城食品の味噌ウドン(おすすめ)をすすって、最終校正開始。
深夜の書斎兼キッチンに、赤ペンの音が走る。第四校は読みやすいが、それだけに、逆に読みにくいところが浮かび上がってくる。間違いがなく、読みやすい文章にするためにはどうすればいいか? 私は以前、「読め」と言われた。文字通り、本文を読むのである。黙読するのと音読するのでは、文字に対する集中力がかなり変わる。読みながら、口でつかえた表現には赤を入れる。のどが枯れる。リポビタンDを飲みながら、深夜のキッチンに声が響く。
朝六時。校正終了。反映させるために、パソコンを開いた。するとJH君から最終イラストが届く。背景で新聞が乱舞する、よりカッチョエエ表紙ができてきましたよ。早速差し替える。これが俺の本の表紙か。毎回、表紙イラストをもらったときほど気合いが入る瞬間はない。
校正の内容を反映させる。この時も、声に出すのが重要だ。と、いうのは、眠くてへろへろな状態で校正を反映させると、思わぬミスが飛び出してしまうからである。ここまで来てそれをやったら台無しだ。だから、ここも声に頼る。校正を反映させたら、直した箇所を指を指しながら読む。
12/7
朝八時。最終稿、完成。
ああ、ここまで来ることができたか。ちょっと充実感が広がる。後は、印刷して提出するのみだ。ここまでくれば、何とかなるだろう。徹夜明けでふらつく体に鞭を打って、原稿片手に駅へと向かった。
だが、本当の戦いはここから始まるのだった・・・。(続く)