旨い酒

入稿してから20日以上。やっと、この日を迎えたというのが正直な気分。第69回コミックマーケット。自分にとっては、特別すぎる意味のあるコミケットだ。今回は「マリア様がみてる」の本を初めて出す。初めての二次創作。果たして、反応はあるだろうか。真美の本など誰も買わないのでは。内容的に、萌えとかなんとか考えてないから見向きもされないかもしれない。反応がなかったら、一緒に作ったJH君もガッカリするに違いない・・・不安と期待が入り交じった20日間だった。
当日。五時五十分に起床。一番最初の感想。「ああ、ちゃんと起きられた!」前回の失敗を繰り返さなくて済んだとかなり安心。用意は前日にしてある。厚着をして、トランクを持って、家を出た。
途中でJH君と落ち合い、国際展示場駅へ。どういう訳か、今回は駅が相当込んでいる。二日間開催だけに人が集まっているのだろうか。寒い中、ご苦労様だなぁと一般参加の列を横目に、入場。
会場入り。今回は角位置だから色々自由度が高くて嬉しい。机に来ると、直接搬入した新刊が段ボール3箱で置いてあった。ときめく胸を抑えつつ、箱を開けると・・・出てきた!新刊が!クリアPP加工された表紙カバー。整然と整った文庫本。想像以上に完成度が高い。思わず二人で「おお〜」「こりゃいけんだろ」と歓声を上げる。
次にディスプレーだ。今回は、時間があったので色々考えてきた。書店の文庫本コーナーが今回のモチーフだ。おもむろに、100冊取り出す。そしてドカンと机の上に並べる。文庫本で140ページ近くあるので、100冊並べるとド迫力。これなら人目につくだろう。
表紙、本文、仕上げ、ディスプレイ。やれることは、全部やった。後は、天命を待つだけ! 開会の拍手を聞きながら、いつも通り、気合いを込める。
開始五分後。寄りつき……なんのことはない、一番最初のお買いあげ。非常に嬉しい。コミケだから坊主はないと思っていたが、いつもながらこの瞬間がホッとする。
というかマリみてジマ、さすがに人が多い。創作小説とは段違いの人出だ。朝イチからこれだから、もう少し時間がたてばもっと増えるに違いない。と思いつつ待っていると、だんだん、だんだんと本が売れてくる。表紙がいいのか本文がいいのかディスプレイがいいのか、とにかく手にとってもらえている。机の前に人が集まる。人が集まってくると、気持ちが盛り上がってきて「一丁やってやるか」という気分になってくる。そういや、緑陽社だったかどこかの印刷所で、文庫本セットの宣伝に「電車の中で読める同人誌もいいんじゃない?」なんてキャッチフレーズがあったな。ちょっと拝借するか、ということで「電車の中で読める同人誌、一冊500円!」とアピール。すると反応がすごくいい。通りすがった人にどんどん手にとってもらえる。順調に、手前の本が売れていった。
途中、手にとってもらった人と話をする。多いのは、「真美中心の本は珍しいですね」という話。確かに、想像以上に真美や三奈子の報道系の本って少ないな〜。私と、お隣さんの真美の本ぐらいだ。当初から、これは不安だった。しかし、「需要はありますよ」「だからこそ買い!」という人が多い。予想を裏切る、嬉しい一言をたくさんもらった。
そうそう、これなんだよ、と思う。今回の本の内容は、オリジナルでやろうと思えば出来た。というより、むしろオリジナルでやった方が、もっと伝えたいことを伝えられたかもしれないし、小説としては完成度が高かったかもしれない。だけど、私がやりたかったのは、ただ単に小説を作ることじゃあない。このファンとの「交流」に他ならない。普通に生活していれば出会うこともなかったであろうマリみてファン達との、ハートフルなこの交流。ああ、ここに来てよかった。本当に、そう思う。
途中で、本を持って出かける。ネットで見ていたあの人、文庫本を持っているこのサークルに声を掛ける。こちらは今後、オンリーイベントなんかに参加しようと考えている身。知り合いを増やしておいて損はないだろう。というか、損得以前に同人誌を通じて話をしたかった、というだけですけどね。いろいろな人と色々な話が出来て、こちらも大変楽しかった。
途中から、大阪の友人、売り子殿と半蔵殿が来てくれた。みんなでわいわいやりながら、四時。想像を遥かに超える冊数を売り上げて、終了!
拍手の中で、私は大きくため息をついて、一言。
「ああ、しんどかった」*1
当日来ていただいた方、本を購入してくださった方、挨拶に笑顔で応じてくださった方、すべての人に、本当にお礼申し上げます。誠に、誠に! ありがとうございました!
その日はみんなで居酒屋で軽く一杯。生きていて、こんなに旨い酒を飲んだのは初めてでした。

翌30日はJH君のところでお手伝い。今回の彼のスペースの目玉は同人ゲーム東方のポスターだ。見たところはかなり人目を引くが、かなり大きい。搬入の手伝いもしたが、とにかく大きい。これで一本五百円はお得だと私は思っていたが、さて、どうなるか。
開場。東なので、大手目当ての客がドカドカとやってくる。そんな中、彼のサークルにも人が結構集まりだした。心配されていた東方ポスターも、出足がいい。これは、いけるんじゃないの? なんて思い出した。
そうこうしているうちに、行列が結構長くなってきた。見よう見まねで行列を整理してみる。すると、なんとスタッフが寄ってきて、「この行列やばいかもですねぇ」などとつぶやき始める。まさか、列を割るとかそういう事態? と思って聞いてみたが、「もう少し様子を見てみましょう」とのこと。スタッフはその後何回かやってきたが、幸いに大きなトラブルはなし。少しホッとする。
その間にもJH科学の本とポスターは売れ続け、十二時前後でポスター完売! これはよかった。運び屋としても一安心。
完売を受けて、私も少しお出かけ。頼まれた買い物も兼ねて、東123に行ってみる。が、人が多すぎる!そりゃ毎回混むイベントではあるが、今回は特別混んでいるような……二日間の影響だろうか? あまりじっくり見れずに、東456に戻る。
東5に点在する文書・小説系サークルに顔を出す。阪神仲間の光俊太郎さんや、新聞仲間のjimmyさんらに声をかける。こうした仲間たちと会うと、ここに来たな、という気分。嬉しくなる。
今度は西へ。音楽系サークルの友人に会った後、ぶらぶら見て回る。なんと!ロマサガ2の本を出しているサークルがあるではないか。話しかける。やっぱり私の基本はロマサガ2だと思うんですよね。すごく話が分かる人で、盛り上がれた。
最後にJH君のところで手伝いをして、4時を迎える。こちらのスペースも一日通して盛況だった。よかったよかった。
終了後、ラーメン屋大景*2で打ち上げ。また酒を飲んで酔っぱらう私。昨日といい今日といい、酒がとにかく旨い!いいことばかりだった証だ。

来年*3も、楽しい一年になりますように……祈りながら、ビッグサイトを後にした。

*1:2003年、阪神が優勝したとき、星野仙一監督(当時)はインタビューの第一声でこう言って、彼の回りのプレッシャーを表現した。

*2:ビッグサイト一階のラーメン屋。なぜか萌え系のマスコットキャラとステッカーまである

*3:まぁ今年ですが