新刊奮闘記③ 印刷編

今回は原稿を形にしてくれる印刷所の話。
以前、「光と共に」シリーズはすべて大陽出版*1で印刷していた。理由は単純で、知名度があって秋葉原に店舗があったからである。値段もそれなりでできばえもいいし、特に迷うことはなかった*2
だが、前回から、印刷所をどこにするかずいぶん悩むようになった。
西国分寺の緑陽社*3、立川のポプルス、八重洲のくりえい社*4。「文庫本セット」と名打っているセットがあるのは、この三社である*5。この他の印刷所でも文庫本は作れるが、私が手にした同人文庫本はこの三社のシェアが非常に高い。私も前回はくりえい社を利用した*6
どの印刷所がいいか?と言われると、どれも特徴があるとしか答えられない。一般的には、低料金ならポプルス、品質なら緑陽社と言われている。
だが値段に関しては、提携会社・関西美術印刷*7のカバーを使用した場合などは、三社あまり変わらない。品質面も、安いポプルスが悪いかというと別にそんなことはなく、問題ない*8
こんな現状なので、他の人の同人誌文庫本を見ても、三社間のシェアにはあまり違いがない。話を聞いても、それぞれの人がそれぞれの人なりに感じた各印刷所の利点を教えてくれる。これは非常に迷う。
そんな迷いを抱えつつ、さかのぼること一ヶ月前。「こちら編集部」の一巻を再版するため、私は緑陽社に依頼した。あえて第一刷と印刷所を変えたのは、緑陽社とくりえい社、どっちがいいのかという問に答えを出すため。
入稿時、くりえい社で使った原稿用紙を持っていくと、「これは使えません」という無情な返事。

時間はもう夕方五時。今から新宿で再出力するのはつらいですよ? 嗚呼、また来ないと行けないのか、西国分寺まで……と嘆いていたら。
店:「データをいただければ、それで入稿としますが」
俺:「でもワードではなく、一太郎なんです」
注:緑陽社のHPでは、ワード本文入稿、インデザイン本文入稿は認めているが、一太郎本文入稿は記述していない。
店:「いや、できますよ……PDF化すればいいので」
俺:「なんとぉぉぉぉっ! それ先に言ってよ!」

データ入稿は、とにかく便利である。印刷出力する必要がないため、コストと時間を大幅に削減できる。それに位置がずれたり、ページがずれたり、印刷がかすれたりする心配もない。
しかし小説はデータ入稿がちょっと難しい。ワープロファイル入稿は、できそうでできないからだ。これまで使った印刷所の中では、大陽出版とくりえい社は無理。しかも、ワープロデータ入稿可の場所でも、認められているソフトは大抵MS-Wordである。私が使用する一太郎データ入稿を公式に認めているのは、ポプルスだけかと思っていた。私はそのためにポプルスを利用することを検討した。
しかし、まさか緑陽社で一太郎データ入稿できるとは。私は一も二もなく「じゃあそれで」とお願いした*9
また緑陽社は、一般的には大手向けというイメージがあるが、ウチのような中小規模サークルの問い合わせにも丁寧に対応してくれた。
と、いうことで、新刊は緑陽社に入稿。いちいち休みを取って出かける必要もないし、印刷する必要もないし、待つ必要もない。楽々!自宅の座イスに座ったまま入稿できるのは本当に王様気分や〜*10
値段は同じぐらい、それでいて一太郎入稿が可能。対応も丁寧。で、高品質。
こりゃ今後も緑陽社しかないでしょう!


そしてついさっき、新刊が到着!
本を手に取ると、この瞬間のために、やっているんだ……、と改めて思う。
さあ、川崎へ!

*1:一番最初、太陽出版と奥付に書いて店長に怒られた。

*2:今にして思うと、大陽出版は入稿作業のマニュアル化がきちんとしており、追加料金を取られるようなオプションも少ない。初心者にはわかりやすくていいと思う。店長怖いけど……

*3:今度分倍河原に本社移転するらしい。

*4:本社は大阪

*5:全部中央線沿線なのは、アニメ会社がこの周辺に固まっていることと関係がありそう?

*6:一番の理由は締め切りが緑陽社より4日長かったから。あと、近いから。

*7:略してカンビ。カラー表紙、カラーカバーを印刷でき、多くの同人誌印刷会社と提携している。品質がいいのに値段がかなり安いのでお得。

*8:ただし、ポプルスの本と緑陽社の本を並べて比べるると、確かに緑陽社の方が品質がいいと分かる。

*9:もし実際一太郎を使用して入稿される際は、スタッフの方に相談してください。いきなり一太郎を送りつけると混乱の元なので。

*10:でも本文を乗せたメールの送信ボタンを押す瞬間は、なぜだかかなり緊張した。