春だというのに桜が咲いて。

ああ、川崎は桜が満開だ。アクセルを踏むと、花が舞い散り幻想的な風景。今年も、この週はいいことあるぞ、きっと……
でもさ、俺。七時半会場到着はいくらなんでも早過ぎね?

4/2。川崎で行われた「私の十字架 SPEdition」に行ってきました。今年初の即売会の様子を密着レポート!


朝の六時。
私は実家のある千葉県某所で、クルマを借りて出発。今回は、クルマで行くことにした。私の記憶が正しければ、会場の川崎産業振興会館のすぐ側にコイン駐車場があったはず。ま、高速使えば宅配便代と相殺だけど、たまにはクルマもいいじゃない?
埼玉県某所の赤木文庫本店で、積み荷を積む。同時に、冬コミで買ったマリみて音楽CDをセット。首都高に乗ると同時に、大音量でミュージックスタート。気分は相当ノリノリ。そんな気分を察してくれているのか、首都高はどこも渋滞ナッシング。さー、いっくぞ〜!軽快に、湾岸線を流していく。
とか気分良くやっていたら、一時間もしないで会場に着いてしまいました。時刻は七時半。渋滞対策のため早めに出てきたのが効いたと言えばその通りなんだが……というか、こんな後悔するような時間なのにもかかわらず、桜舞い散る産業振興会館前には既に熱心なファンが数人並んでいる。すげえな、の一言。
ま、とにかくクルマを止めましょう。会場側の駐車場を探すと……あれ?ありませんよ?おかしいな、ここにあったのに、と見上げると、代わりにマンション(かビルか)が建築中。しまったぁぁっ!駐車場潰されてたのかぁぁっ! 以前ここに来たのが、2004年。あれから2年。街は生きているぜ……と、思ってしまった。

しょうがないので、ちょっと離れた場所にあるコイン駐車場に駐車。やることがないので、コンビニで日刊スポーツを買い、すぐ側の多摩川をすこし散歩してから、クルマの中で寝た。手伝いのy君が来るまで一眠りだ。
zzz
で、九時半。
クルマを川崎駅前に回して、y君を待つ。y君は九時五十分頃来た。彼を乗せて、産業振興会館へ。
ところがっ!彼の口から、思いも寄らぬ衝撃的な発言が!
「俺、今から仕事……」
なんですとぉぉっ!聞けば、川崎駅に下りたときに電話がかかってきたらしい。めったに休日出勤がないらしいのに、なぜ今日に限って……y君の上司を恨むぜ。
とはいえ、最初のところだけでも手伝ってもらえるに越したことはない。産業振興会館前で荷物を任せて、私は駐車。一人じゃこんな芸当はできないところだった。
駐車場から少し歩いて、会場に戻る。つうか、一階で姫ちゃんのリボンのイベントをやっているんですが。ごめん、俺、こっちに参加していいかな? y君が帰ることをこれほど嘆いた瞬間はなかった。
さて姫ちゃんは置いて置いて、準備開始。今回はぺってん紳士さんの表紙が入った新刊だ。イラスト、印刷のクオリティは抜群! 本文も、結構いい出来のはず。期待度は高まる。
しかし一抹の不安もある。4/2川崎の直前、3/19にもマリみてオンリーイベントは行われている。中一週で普通の人ならまたかよ、というところである。さらに2/14にもオンリーは開催されている。三ヶ月連続で普通の人ならまたかよ、というところである。お客さん、来るのか?
そしてそれは逆に言うと、今日来る人はかなり熱心なファンが多い、ということではないか。彼らに認められる、られないは大きいんじゃないか……そう考えた。
いけねぇ、ブルっちまった。
なんて考えていると、すぐに開場と相成った。拍手の中、気合いを入れる。と、同時に、ここでy君がさようなら。今日はありがとう。
開始0分後。大手サークルのところに雪崩のように人が集まる。ひえー、すげー。会場そのものがそんなに大きくないので、一気に人が集まると、すぐに通路が埋まる。こりゃしばらくは、私のところには来ないかな……なんて思っていたら。
「新刊、一冊ください」
おおっと!開始一分後に寄りつき*1ですよっ! これはサークル新記録。聞けば、前回「こちら編集部」を読んで面白かったので、とのこと。ありがたい、本当にありがたい……!
その後も、怒濤の流れの中で新刊がコンスタントに出て行く。何人かに、前作の感想を聞いてみると、概ね好評ではないか。そりゃまぁ、前作がダメダメと思っている人はここでは買わないわけだけど、それにしても嬉しい。
前回の「こちら編集部」について、私はこの三ヶ月、ずっと不安に思っていた。読者は、果たしてあの内容も評価してくれるのだろうか。オリジナル要素が強く、突っ込んだ人間関係を描写した前作を見て、引いてしまうファンが多いのではないか。絵や本に惹かれて買ってもらったはいいが、本文は評価されないのでは……ずっと、そう思っていた。
だが、ここに来て、「あの本はよかった」と言ってくださる方がなんと多いことか。自分のやってきたことは、無駄ではなかった。自分は、この調子でいけばいいんだ。と、大きな大きな自信をたくさんの人から頂いた。それが、何より嬉しかったし、ホッとした。前作の感想を聞かせて頂いたみなさま、本当に、ありがとうございました。みなさまのおかげで、続けることができそうです!
さて開始一時間ほどすると、急にお客さんが減ってきた。私のところだけかと思ったが、全体的に流れが一段落した様子。なるほど、最初から並んでた(あるいは開始直後に来た)人は、一時間もすればだいたい見終わる。さっき予想した通りに客層がコア客層中心だとしたら、後から後からドンドコ人が訪れるようなことはないか。
少し時間ができたので、冬に知り合った人やサークルの方と話をする。覚えていてくれている人が多くて、嬉しかった。普段あまりできないマリみて話が弾む。オンリーイベントって、こういうのが楽しいんだよね。
思えば、一年前もそうだった。ちょうど一年前のこの週、絶滅したと思っていたセンチメンタルファンたちとの交流から、二次創作への道を歩こうと決めたんだった。自分が本当に好きなものを分かってくれる人との共感、共有。それが、私をここまで連れてきてくれた。四月第一週イベントは、ゲンがいいなぁ。そんな気分になりつつ、サークルさんやお客さんと話に花を咲かせる。
さて、間もなく三時……というところで、気になるニュースが飛び込んできた。どうやら、心配していた雨が降り始めたらしい。むむ、かなり持ってくれたが、ついに降り出したか。即売会は最後まで店を開いたまま終わるのが主義だったんだが……今回は仕方がない。
三時半頃から片づけを開始する。おかげさまで、持ち帰る本はかなり減った。行きはカートのパイプが曲がりそうなほど重かったが、帰りはそんなでもない。ありがたや。
そして、三時。私に自信を与えてくれたイベントは終了。拍手と同時にそそくさと退散した。
荷物を転がして駐車場に向かう。途中、人気がないところでタバコに火を付けて、空を見上げた。
今年も、いい時間を過ごすことができた。本当に、良かった。
無理難題を言っても絵を描いてくれたぺってん紳士さん、ありがとう。
手伝いに来てくれたy君、ありがとう。
そして、今日私のところに来てくれたファンの方、ありがとう。
すべての人に、感謝したい気分だ。

マリみてファンが、イチバンヤ!」

少し雨がぱらつく中、私は空に向かって拳を振り上げてた。

*1:株式用語で、市場が開いてから一番最初の取引が成立すること。株も同人誌も、一日寄りつかないこともある。