大阪紀行 第二回「住之江彷徨」

大阪駅でアルと別れ*1、梅田駅で二人と別れ、ホテルのある住之江へ向かう。明日のコミコミの会場、インテックス大阪に近いので住之江のホテルを取ったが、地図がいい加減なんだよな……無事に着けるかな。
住之江公園駅に到着。本当は電車を乗り換えて平林という駅の方が近いらしいが、せっかくだからここから歩こう。夜の住之江競艇場*2を横目に、歩く。歩く。百貨店で買ったグッズやらなんやらが重い……しかしまぁ十分ほどだ。がんばろう。
橋を渡ったあたりで、ちょっと異変に気づく。なんか、住所が違うような……バス停の明かりで、いい加減な地図を見る。バスの標識を見る限り、どうも隣の区に来ているようだ。おいおい、方角が違うみたいじゃんか。間違えたか。
タクシーに乗るか……?いや、もったいない。ただでさえグッズを買いすぎてるんだ。それに、こういうところで回り道するのも土産話さ。勘だけを頼りに、道を曲がる。
東京でもそうだけど、こういうベイエリアって、工場が多いんですよね。私が入った道も工場街で、大きな工場が立っていた。夜の工場街……もちろん、人気はない。少し怖い。さらに歩くと、公園があった。人気のない公園には、得てして反社会勢力*3が溜まっているもの。緊張しつつ、工場街を歩く。
本当に人がいない。誰もいない。車通りもなくなった。あるのはただ違法駐車の列と、遠くに見える高速道路の明かりだけ。なんか、どう見ても間違いな予感が……相当不安になってきた。さらに悪いことは重なるモノで、雨がぽつり、ぽつりと降ってきた。雨粒を喰らったとき、どれほど不安になったことか……
携帯電話を握りしめるが、場所がわからないので110してもどれほど役に立つのか*4……それでもしょうがないので歩く。すると、ある車に人の気配。怖えええっ。だが知らなかったことにして歩く。すると、突然その車が動き出す。緊張が走る。だが無視して歩くと……
なんと行き止まり。
そして迫ってくる車!

怖え、怖え、怖え!
とにかく無視してUターン。車もUターンして追い越していったが、待ち伏せしているかもしれない……まだ気は抜けないぞ……歩いてきた歩道と反対側の歩道を通って戻る。すると車に気を取られて気づかなかったが、反対側の歩道には、ルンペン*5が住んでいるとおぼしきブルーシートが!
怖え、怖え、怖え!
夜の住之江で、リアル恐怖体験!ブルーシートの前をゆっくり通り過ぎるが、生きた心地がしなかったですよホント。
とにかくこの場を離れよう。心の中で、「Survibe!(生き延びろ!)」「Survibe!(生き延びろ!)」*6と何度も何度も繰り返して、ただひたすら戻った。雨と蒸し暑さと冷や汗でTシャツが濡れて気持ち悪いが、そんなこと構ってられない。とにかく歩いた。早く、早く、元いた大通りに!
七、八分ほど歩いて、大通りに戻る。普段だったら短く感じる時間だが、相当長く感じた七、八分だった。もうこうなったら仕方がない。タクシーを拾う。運ちゃんに地図を見せて、大きくため息。ああ、生還した……生還したぞ俺は……。
タクシーは五分ほどでホテルに到着。
てか、全然違う場所じゃん。
俺の地図を読む力も当てにならないなぁ、いやあれはホテルの地図がアバウトすぎるんだ。いろいろ考えつつも、部屋に入って大きく深呼吸。あー助かった。
一階のコンビニでペーパーを印刷し、そこで買ったチューハイを飲みながらサッカーを見て、大阪の夜は更けていった。もちろん、有料チャンネルのチラシが気になったのはナイショです。*7


次回、大阪紀行第三回。「中ふ頭戦記」 赤木、インテックスで大暴れ!いや、大暴れしたらたたき出されますから!

*1:彼はなんと日帰り。すげぇよ、すげぇよ。

*2:これも競艇ファンのメッカ。一度行ったことがある。

*3:普通は暴力団のことを指すが、この場合はたぶん暴走族のことを言っているのかと思う

*4:固定電話で110すると警察の方で場所を特定してくれるが、携帯電話で110しても場所が特定されないんですねぇ。110するときは公衆電話からしましょう。

*5:乞食とルンペンとホームレスの違いについて誰か教えてください。

*6:なぜいきなり英語かというと、七月鏡一藤原芳秀ジーザス」(小学館)というアクション漫画で、テロリストに囲まれた山に残された生徒たちを、英語の先生(かわいい)がこの言葉を連呼して励ますシーンがあるんですね。それを思い出していたわけです。

*7:結局赤木は有料チャンネルを見たのか? どうか? それはご想像にお任せします。