TBSの見識

サッカーワールドカップは好きだけど嫌いだ。サッカーそのものは最近おもしろいと思い始めたから、ワールドカップになると世界レベルの試合を手軽に見られるので非常にありがたい。
しかし、ここ数大会ずっと、ワールドカップには日本も参加している。それはまぁいいことだし、実際試合前の国歌を聴いてジーンとなったりもするのだが、日本全体に「日本代表を応援しないとダメ」という雰囲気があまりにも強すぎて、辟易する。そんなにみんなサッカーが大好きなのか、と言われると日本弾表が負けると突然みんなサッカーの話題をしなくなるし、そんなに愛国者が多いのかと思えばどうもそうでもないというか……
そういやこんなビールのCMがありました。「勝ちますかねぇ」なんてつぶやいていると、突然振り返った親父が声を張り上げ、「勝つに決まってるでしょ!」
あれです。あの雰囲気が全国に漂っていてイヤなんです。それがイヤで無関心を装っていたら過去に何度か迫害を受けました。


6月18日、少し早く起きたので、TBSのサンデーモーニングを見る。張本勲の喝が最近少しウザくなりつつあるお年頃だが、番組の最後の方で、「なぜ日本全体がサッカーの勝敗にこんなにも熱狂したり落胆したりするのか」という特集が組まれていた。そこでは、「熱しやすく冷めやすい国民性」であるとか、「マスコミがあおりすぎ」という観点を取り上げていた。それに対して、番組のサッカー評論家の中西氏は、「なるべく公平に伝えたいと思っている。先週も張本さんに「勝てますよね」と聞かれたが、引き分けでいいと発言したのはそういう思いがあってのこと」というようなニュアンスの発言をするわけですね。私は好感を持った。その他コメンテータたちも、サッカーと国民性、マスコミについて発言し、落ち着いた雰囲気で番組は終わる。面白かった。
ところが、である。その直後に始まったサンデージャポン*1では、一時間以上渡ってのワールドカップ特集。その内容も、はっきり言ってお粗末。番組そのものの性質なんだろうが、テリー伊藤とか飯島愛が騒いでいただけ。だいたいこの番組に出てきた解説者の水口氏は、4-4-2システムのことを「守備的」と言っていたが、サッカー通に聞いたところ、このシステムはディフェンダーが攻撃に参加するから攻撃的なんだそうです。基本的な情報すらいい加減。そしてサッカーゲームでシミュレーションを行い、日本がクロアチアとブラジルに勝つとスタジオ全員で大騒ぎ。その後始まる、世界のイケメン選手特集。もう見ちゃいられない。


ほんの三十分前まで、マスコミがあおりすぎていたことを反省する内容の番組を流したにも関わらず、直後に「あおる」番組を流すTBS。局としての見識を疑ってしまう。それとも、テレビ局に見識を求める方が間違っているのだろうか?
難しいことを考えてしまった日曜の朝。

*1:普段はここでサンデープロジェクトにチャンネルを変えるのだが、この日は何となくサンデージャポンを見てしまった。