日本人と食

NHKスペシャルが面白い。今日のテーマは「マグロが食卓から消える? 水産資源争奪戦」というテーマだった。それによれば、東欧、アメリカ、韓国がマグロ消費量を拡大させ、中国もマグロを消費し始めている中で、日本の商社が買い付けられるマグロの量がかなり減っているらしい。そこへマグロの漁業資源が枯渇しているという警告もあり、マグロを取り巻く状況が非常に厳しい、という内容だった。
私はマグロが大好き。寿司屋に行けば必ず食べるし、スーパーで買って日本酒と一緒に食べたりする。その時のマグロは、どれも安い。安くておいしくて非常にありがたい……などと脳天気に思っていたが、テレビを見て、もしかしたら数年後にマグロが超高値になってしまうのではないか、と思った。
NHKスペシャルは以前にも、大豆の輸入の話をやっていた。ブラジルから買い付ける大豆の価格が、やはり高騰しているとのこと。相手はやはり中国。大豆といえば日本人の食卓には欠かせない食材だが、それも安定的に輸入し続けられるかというと、やや難しい状況になりつつあるとのこと。
こういうテレビを見ていると、深刻に考えてしまう。小学生のときに習ったように、日本の食料自給率は非常に低い。以前はそれでもよかった。だが中国や他の新興国が急激に輸入量を高めている。もしかして、食糧不足なんてことになりはしないか。
その一方、居酒屋なんかで飲み会をやると、大量の食べ物が残される。明日食べる……わけに行かないから、廃棄されるのだろう。将来食料に困るかもしれない一方で、毎日大量の食料が廃棄されている。この矛盾は、なんだろう?
私が食にこだわるのは、多分「麻雀放浪記」などの読み物の影響だと思う。麻雀放浪記では、戦後の貧困期の中、食べるためにサイコロを振り、麻雀を打つ。一番最初に主人公はチンチロリンで大勝し、銀シャリ(白米)を頬張るシーンが印象的だ。そんな影響か、私はとにかく残さないで食事することを心がける。
食に困る時代がまた来ませんように……と、小さな祈りを捧げるばかりだ。
あと気になったことがあるのだが、今日のマグロにしろ、以前の大豆にしろ、登場するのは大手商社の商社マン。彼らは必死に交渉して目標を達成しようとする。それは民間企業として業績を上げることが第一目標なんだろうが、彼らの心の中には、「日本の食卓は自分たちにかかっている」という誇りもあるんではなかろうか。彼らに、敬意を表したい。
と同時に、国民の食料安定確保について、民間企業がその多くを担っているこの現状は正しいことなのか? 国が自給率を高めるような政策をもっと打ち出すべきなのでは? と思った。
今後も飢えずに生きていけることを願わずにいられない。