答えの一つが出た、かも。

諏訪哲二「オレ様化する子供たち」(2005年・中央公論新社)を読んだが、非常に面白い。とにかく、面白い。
著者の諏訪哲二氏は「プロ教師の会」の代表である。高校教師の視点から70年代、80年代、90年代の子供達を見続け、その集大成がこの本ではないかと思う。
最初は、現在の子供がどのように変化しているか、ということを知りたくてこの本を手に取った。だが読み進めていく内に、私がここ数年ずっと大きなテーマとして考えている「近代化と共同体の崩壊」について、ズバリと答えてくれた。大きな疑問に、答えの一つが出た気分がして、今大変すがすがしい思いである。

本当はここでズラズラと要旨をまとめ、読者諸兄とこの本の面白さを共有しようと思ったが、いざ書いてみるとうまくまとまらない。ちょっと難しい言葉や概念が多数出てくるので、一読しただけでは把握しきれていないようだ。よって、この本から感じた面白さは、今後私の各作品の中に溶かして、読者諸兄に伝えたいと思う。
近頃起きる子供の事件の原因は何なのか、教育行政の根本的な誤りは何なのか、昨今よく行われる教育に関する議論に書けている物は何か、そして私たちの社会はどこへ向かおうとしているのか……そんなテーマに関心がある方は、ぜひこの本を読んで欲しいと思う。